山形 駅 から 赤湯 駅
(2019年10月15日閲覧)参考に作成 Type 1は、ステントの近位端および遠位端から、血液が動脈瘤に流入します。ステントグラフト留置後急性期に多く、早期治療介入が必要です。Type2は、最も頻度の高いエンドリークです。瘤の中に元々動脈分枝が存在し、そこから大動脈瘤に逆行性に血液が流入します。自然に改善することがほとんどで、基本は経過観察です。Type 3は、グラフト自体が裂けて動脈瘤内に血液が流入します。近年はステントグラフトの質の向上により、頻度は稀ですが、こちらも早期治療介入が必要です。Type4は、グラフト自体からじわじわと血液が浸み出します。自然に改善するため治療は不要です。 繰り返しになりますが、Type 1とType 3は破裂リスクを有しているため、再手術になるケースがあります。これらは、術後数年たってから起きることもあるため、ステントグラフト治療後は長期のフォローアップが必要とされています。 1)Erbel R,et al:2014 ESC Guidelines on the diagnosis and treatment of aortic diseases. European Heart Journal 2014;35(41):2873-926. 2)Davies RR et al:Yearly ruoture or dissection rate for thoracic aortic aneurysms; simple prediction based on size. Ann Thorac Surg. 2002. 3)高本眞一,他:循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010年合同研究班報告).大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版),p. 13. 4)Pasternak B, et al. Fluoroquinolone use and risk of aortic aneurysm and dissection: nationwide cohort study BMJ. 2018;360:k678. 5)Matt P,et al:Circulating transforming growth factor-β in Marfan syndrome. Circulation. 2009;120:526-32.
日老医誌 2000; 37: 1012-1013 病診連携の実態 AAA早期発見と破裂予防のためには、専門医との連携が欠かせません。 AAA診療におけるプライマリケア医、専門医の役割 診断 破裂リスクを考慮して、CTフォローと外科治療適応を判断します。 図3:AAAの診断とフォローアップ AAAが進行して瘤径が大きくなり破裂した場合には、死亡のリスクが非常に高まります。 そのため、早期にAAAを発見して、注意深く経過観察を行うことが必要です。早期発見のため、リスク因子(男性、65歳以上、喫煙、高血圧、家族歴)が複数ある高リスク患者さんでは、腹部触診や腹部エコー検査によるスクリーニングが勧められます。触診で腹部に拍動性腫瘤がみられる場合にも、腹部エコー検査や腹部CTスキャンによる精査が勧められます。また、他の疾患で腹部エコーやCTを行いAAAが発見された場合や、疑われた場合にも腹部CTスキャンによる精査が勧められます(図3)。 いずれにしても、AAAが発見された場合や、疑いがある場合には、専門医に紹介し、腹部CTスキャンなどにより瘤径と破裂リスクを正確に評価し、必要に応じて外科治療を考慮する必要があります。
大動脈瘤はほとんどが無症状で、腹部大動脈瘤の場合は、胃潰瘍や胆石症などの消化器疾患を診断するために腹部を触診した際に、拍動するしこりとして発見されたり、腹部エコー(超音波)の検査中に偶然に発見されることが大半です。 就寝時、仰向けになると腹部がドキドキするなど異常を感じることもありますが、必ずしも大動脈瘤があるとはいえません。 普段、高血圧などで近くの病院に通院している場合、一度は腹部の診察を受けましょう。 胸部大動脈瘤も一般的には無症状のため、健康診断などで胸部レントゲン写真を撮った時に偶然発見されることがほとんどです。 胸部X線検査や超音波検査を、正面と側面から行うことによって、胸部大動脈の拡大の有無をチェックできます。しかし、正確な胸部大動脈の径を測定したり、瘤が拡大する度合いを知るにはCT検査が最適であり、X線検査や超音波検査はあくまで大動脈瘤の有無を知るための一般検査といえます。
有病率 有病率腹部大動脈瘤(AAA)の有病率は加齢とともに増加します。 図1:年齢別のAAA有病率(海外) 1) 対象: ノルウェー・トロムソの住民6, 386名(年齢25歳~84歳) 方法: 1994年~1995年にかけて実施したエコー検査において、AAA(瘤径≧3. 5cmなどを基準)の認められた患者を年齢別に層別化するとともに、リスク因子を解析した。地域住民ベースの研究。 リスク因子を有する患者さんでは、より高いAAA有病率が報告されています。 表1:AAA有病のリスク因子 ※オッズ比は男性での割合 男性 1) 65歳以上:2. 2倍~ 1) 喫煙:現在喫煙7. 4倍、過去喫煙歴3. 6倍 1) 高血圧(降圧薬服用)1. 6倍 1) 冠動脈疾患 2) 3) 家族歴 4) 1) Singh K, et al. Prevalence of and risk factors for abdominal aortic aneurysms in a population-based study: The Tromso Study. Am J Epidemiol. 2001;154(3):236-44. 改変 2) Lederle FA, et al. The aneurysm detection and management study screening program: validation cohort and final results. Aneurysm Detection and Management Veterans Affairs Cooperative Study Investigators. Arch Intern Med. 2000;160(10):1425-30. 3) Dupont A, et al. Frequency of abdominal aortic aneurysm in patients undergoing coronary artery bypass grafting. Am J Cardiol. 2010;105(11):1545-8. 4) Salo JA, et al. Familial occurrence of abdominal aortic aneurysm. Ann Intern Med. 1999;130(8):637-42.
目次 1. 大動脈瘤 1. 1.大動脈とは 1. 2.大動脈瘤の定義と分類 2.胸部大動脈瘤 2. 1.胸部大動脈瘤とは 2. 2.胸部大動脈瘤の原因 2. 3.胸部大動脈瘤の症状 2. 4.胸部大動脈瘤の検査・診断 2. 5.胸部大動脈瘤の治療 3. 腹部大動脈瘤 3. 1.腹部大動脈瘤とは 3. 2.腹部大動脈瘤の原因 3. 3.腹部大動脈瘤の症状 3. 4.腹部大動脈瘤の検査・診断 3. 5.腹部大動脈瘤の治療 引用・参考文献 看護についてはこちら ・ 胸部大動脈瘤・腹部大動脈瘤の看護 大動脈は、心臓から一生涯で約2億リットルもの血液を受け止め、全身のさまざまな臓器へ運ぶ導管としての役割を果たしています。弾性力(血液を受け取ったときに跳ね返す力)も併せ持ち、全身血管抵抗の調節因子でもあり、また心臓に次ぐ第二のポンプ(Windkessel効果)の機能も有しています。全身の臓器、特に冠動脈への拡張期灌流に寄与しているのです。 大動脈は内膜・中膜・外膜の3層構造であり、解剖学的に横隔膜から上が胸部大動脈、下が腹部大動脈と定義されます。 大動脈瘤とは、「大動脈の一部の壁が、全周性、または局所性に拡大または突出した状態」と定義され 1) 、直径から1.
Contrast-enhanced sonography for diagnosis of ruptured abdominal aortic aneurysm. AJR Am J Roentgenol. 2005;184(2):423-7. 腰椎単純X線写真に写るAAAの見え方と特徴 高齢者では動脈硬化による大動脈壁に石灰化を認めることが多く、石灰化を伴う腹部大動脈ではその陰影から単純X線で最大短径の測定が可能となります。 腹部大動脈瘤のリスク因子を有する患者さんで腰椎X線検査を行う際は、腹部大動脈瘤も念頭に画像評価を行うことが必要です。 腹部大動脈瘤の破裂または切迫破裂では9割以上で腰背部痛を有するとの報告もあります 3、4) 。腰痛患者さんの診断では、まず注意深い問診と身体検査を行い、重篤な脊椎疾患や内臓由来の腰痛のほか、血管由来の腰痛として腹部大動脈瘤を鑑別することが重要です。破裂性の腹部大動脈瘤では、突然の腹部・腰背部の激痛、血圧異常(低血圧・高血圧)、ショック症状、腹部拍動性腫瘤を特徴とします。 腰痛を初発症状とした破裂性腹部大動脈瘤は、患者さん自己判断による放置や近医での他疾患と診断、経過観察により、確定診断と血管外科受診までに時間を要することが報告されています 5) 。破裂性腹部大動脈瘤の救命率を向上させるためにも、腰痛診療では問診と腹部を含めた触診を十分に行い、疑わしい場合は腹部エコー等による画像診断を施行し、迅速な診断・救急搬送につなげることが大切です。 3) 浦山博ほか. 骨・関節・靭帯 1992; 5: 71-75 4) Darling RC. Ruptured arteriosclerotic abdominal aortic aneurysms. A pathologic and clinical study. Am J Surg. 1970;119(4):397-401. 5) 垣 伸明ほか. 日血外会誌 2005; 14: 587-590 泌尿器科・消化器科 腹部に圧痛を自覚した腹部大動脈瘤のエコー所見 6) 腹部圧痛のほか、触診では拍動性腫瘤を触知した。最大径47mmの轟状大動脈瘤であり、瘤部の外膜の連続性が保たれているため真性動脈瘤であることがわかる。 縦断面 横断面 人間ドッグ受信時も発見された腹部大動脈瘤の腹部エコー所見 6) 最大径28mmの紡腫大動脈瘤(↑)であり、瘤部に血栓と石灰化を認める。 6) 鶴岡尚志ほか, 臨床病理 2007; 55: 135-143 腹部大動脈瘤の多くは無症候の患者さんで偶然に発見され、腹部エコー検査と触診が主な発見契機になっていることが報告されています 7) 。 人間ドックの腹部スクリーニングで発見される場合、腹部大動脈瘤の診断基準に満たない瘤が多いですが(最大径30mm以下)、経過観察により瘤径の拡大を確認することが重要です。 特に男性では、腹壁の緊張度、腹筋の発達度が高いため、腹部大動脈瘤の発見には腹部エコー検査が有効です。 破裂性腹部大動脈瘤では、腹痛を初発症状とする症例が7割に達するとの報告もあります 5) 。腹痛においても、問診と触診を十分に行い、疑わしい場合は腹部エコー等による画像診断を施行し、迅速な診断・救急搬送につなげることが重要です。 7) 金 京子ほか.